パティシエになる、その時。

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「イチゴタルト組、シャルト!」 シャルト君は学校のの王子様的存在だ。とても優しくて、整った顔立ちをしている。いつもはさらさらの長い金髪をポニーテールに纏めていたが、今日は下ろしている。彼の家は教会であり、同時に僧侶としても働いている。学年中の女子から、黄色い歓声と痛い程の拍手が巻き起こる。トップのサイモンは、面白くない、という顔をしていた。 ころんは勉強に夢中であまり気にしていなかったが、日差しに輝く金色の長い髪が歩く度に揺れ、その蒼い瞳は海の様に優しい。改めて見ると、この女子達の歓声も納得できた。 「イチゴタルト組…」 これで44人目。もう聞く必要なんて無い、等と考えていた。もうころんの興味は卒業者発表よりもサイモンからシャルトへ放たれる嫉妬のドス黒いオーラに向いていた。
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