パティシエになる、その時。

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…そうだよね。 ママはあんなに凄いのに、あたしはその娘なのに。娘が落ちこぼれなんて、ママの顔に泥を…いや、泥どころじゃない、失敗した灰を被せる様なものだ。このままじゃいけない!何とか頑張らなきゃ! ころんは家に帰ると、正直に成績を母に伝え、特訓を頼み込んだ。 「…ころん。ママはね、ころんがすごく頑張ってる事、知ってるわ。…でもね、この成績じゃ卒業は無理よ。あと500番は上げなきゃいけない。厳しいけど、頑張れるかしら?」 母は厳しく、そして優しくころんに問いかけた。 「…あたし、頑張るよ。ママの名誉の為でもあるけど、何よりあたしの夢の為なの。自分のお店を出して、自分の作ったスイーツで、みんなを笑顔にしてあげたい。」 いつにも増して真剣な娘の言葉に、母は笑顔で頷いた。 「分かったわ。じゃあ早速材料の調達からね。ついでにお使いもお願いするわね。」 「え…ママのお使い、結構量あるよね…」 「だから魔導リヤカーがあるんじゃないの。授業料だと思いなさい。はい、材料のお金。」 母はお金の入った袋を渡してきた。重さからいって、かなりの量のお使いだ。 「…それと、20歳過ぎて『ママ』はお止めなさいな。」 「…では行って参ります、お、母、サン。」 ころんはしぶしぶ夕方の商店街へ、大きな魔導リヤカーを引いて出掛けていった。
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