パティシエになる、その時。

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ころんの中で、何かが閃いた様な気がした。 「卒業試験までは、あと何日あるの?」 「…最終試験が一週間後。卒業試験は、その一週間後。」 「猶予は二週間、ね。十分だわ。今日はゆっくり休んで、明日から特訓しましょう。」 やがて父が帰宅し、成績報告をすると父も優しく励ましてくれた。父はいつも、ころんが家で作るイチゴタルトを食べ続けてきた。この三年で少しずつ成長しているから大丈夫、と言ってくれたが、お父さん、と呼ぶと突然泣き出しそうな顔をし、パパのままでいい、と訴えだした。そんな父を母が叱咤しながら、一日は終わっていった。 それからのころんの成長は著しいものだった。『気持ち』を入れ換えたころんはクラスメイトも、担任をも驚かせる程に腕を上げていった。 そして最終試験ではいつもの所より200番以上名前が上がる程になっていた。しかし、浮かれてはいられない。あと一週間で、最低でも300番程成績を上げなければならなかったからだ。
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