パティシエになる、その時。

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「…ころん。あなたはどうして学校へ行っているの?」 母は静かに訪ねた。 「そんなの、決まってるじゃない!パティシエになる為だよ!」 ころんは両手で調理台を叩き、大声で答えた。 「じゃあ、何の為にパティシエになろうとしているの?」 「お母さんみたいに皆を笑顔にしたいの。お母さんが作ったスイーツを食べて、幸せそうに笑うお客さんの顔を、あたしの手で作り出したい!」 「…お母さんは言った筈よ。『気持ち』が大事だって事。ころんのイチゴタルトは卒業する為の物なの?」 「…あ…あた、し…」 「さぁ、もう一回やってごらんなさい。気持ちを込めて、丁寧に。焦らずに。」
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