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「はぁっ………はぁっ……!!!」
もう、どのぐらいの距離を走っただろうか。
奴らはまだ追ってくるようだった。
いくら私が獣人だと言っても、疲れきった身体では流石に限界がある。
「あっ……!!!」
脚が上手く動かずもつれてしまい、豪快に転がる。
「……つッ…う…!?」
急いで立ち上がろうとするも、どうやら脚をくじいてしまったようで立ち上がる事もままならない。
抑え切れない涙がこぼれる。
「…お…母さん……お父さん……」
グシャグシャに崩した顔のまま、もうこの世にいない、二度と会えない大切な人を思う。
私は何もしていない。していないのに。
「ブヒヒ……やぁっと追いついたぜえ、お嬢ちゃんよ。」
どうして、こんな目に遭わなくてはならないんだろう。
はいつくばった状態で振り向くと、汚らわしい、腐った笑みを浮かべる三人の男達が瞳に映った。
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