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「…明日は久しぶりにチーモンの街に帰れるな…奈々美、待ってるんだろうな」
…綺麗な星空を見上げながら、菊地はそう呟いた。
此処はエーアゲ峠。
菊地の所属するムゲンダイ王国直属軍アゲメン隊は、
峠の調査を経てキャンプを開き、今夜は峠に泊まり明日の朝には一部の隊員が一旦故郷へ帰る事が出来るという。
菊地はその隊員の中に含まれていた、ということなのである。
菊地は早まる気持ちを抑え切れず、もう隊服から普段着に着替えていた。
しかしそんな事をしている隊員は、菊地だけでは無かった訳で。
「あっ、菊地じゃん!もう着替えたのー?」
ふと菊地の後ろから独特の甲高い男の声が聞こえたかと思うと、
その男は菊地の隣で立ち止まった。
「鉄也!お前も他人の事言えねーじゃん、着替えてるし」
鉄也、と呼ばれた男…
白井は菊地にそう言われ、まぁねと言いながら頭を掻いた。
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