5人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
真っ赤に染まっていた
木作りの丈夫のハズの
テーブルは割れて
イスは倒れている
テレビには大きな穴
赤く染まった白いソファ
ソファの背もたれの
後ろには
血だらけになって
倒れている母の姿があった
何度呼びかけても
返事はない
後ろからは
父のうめき声
僅かに動く父の口は
『逃げろ』
そう言っていた
だが
やがて父の体は
黒い霧のようになって
消えていった
そして
暗い影から赤く光る二つの目玉
小さな体のオレは
脅える事が精一杯で
影の中から
振り下ろされた
大きな爪が
オレの体を引き裂いた
プルルルー
プルルルー
「...またこの夢か」
プルルルー
プルルルー
枕元に置いた携帯の着信音が
オレを悪夢から
呼び覚ましてくれた
プルル、ピッ!
「もひもひぃ~?」
寝ぼけて
うまく言葉が出なかった
『早く起きろ!!』
「うぐっ!?」
朝一番から聞き馴れた
騒がしい声で
頭がサッパリとした
「えぇっと、誰?」
『ふざけてないで、さっさと下りて来い!!』
朝一番の渾身のボケを
スルーされた
最初のコメントを投稿しよう!