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「私は、コレ...」
片瀬さんの目の前に
開かれたメニューに
細く柔らかそうな指が
差したのは
なんと
オレがいつも決まって
食べている
チーズグラタンだった
「へぇ～、片瀬さんも好きなの？オレは大好物！」
「う、うん...私も大好物」
何やらわずかに
笑顔になってきていた
「そっか、じゃあ注文しようか？」
オレがそう言うと
タツヤが目を光らせて
呼び鈴を見つめていた
「片瀬さん押してくれる？」
「あ、うん分かった」
ピンポーン
タツヤの目から
光が消えた
残念だったな
連打なんかさせるか！
しばらくすると
女の店員さんがやって来た
「注文をお伺い...ひっ!?」
女の店員さんは
オレと目が合い
一歩さがってしまった
「あ...」
オレがまとめて
注文を頼もうとしたのだが
こうなったら
出来ない...
オレはテーブルに
腕を枕にして
突っ伏した
「ナホ...変わりに頼む」
「...分かった」
ナホはさっき
全員分のメニューと
飲み放題の
ドリンクバーを四人分を
注文した
女の店員さんが
早歩きで去って行くのが分かった
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