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大岩に近づくにつれて暗闇で霞んでいた視界が戻っていった。
『巻物…?そうかい、これが忍の巻ってやつか。よし、これを持ち帰れば任務完了っと。はぁっ!』
佐助は全力で巻物を抜いた。
その瞬間、地面が激しく揺れ目の前にあった大岩が崩れ、神々しい光と共に何かが姿を現わした。
『うわっっっ!なんだってんだ一体っ!』
地震のような激しい揺れに耐えたものの、放たれた光が眩しく思わず両目を右腕で覆った。
そこに姿を現わしたのは銀色の毛をした狐だった。
『銀の…狐?』
その狐はひどく美しかった。見惚れてしまいそうになるほどに。
『少年よ。よくぞわらわの封印を解いてくれた。礼を言うぞ』
と外見とは裏腹に可愛いらしい声が聞こえてきた。
『俺が封印を解いた?』
『そうじゃ。そなたは巻物を抜いただけのつもりじゃろうが、その時にそなたが首元につけていた九尾の鏡の一部がこの封印岩に触れての。
見事、わらわの封印は解かれたのじゃ』
『九尾の鏡の一部だと?』
実は先日佐助はある山の仙人に会った時、『これを持っていると必ず良いことがあるから持っていきなさい』とお守りを譲り受けていた。
佐助は思い出したように自身の首元に掛けていたお守りを見た。
『あれ…さっきまで確かにあったのに消えてやがる』
力の主である劉幻に吸収されたのかそのお守りは消えてしまっていた。
『んじゃ…あれはお守りなんかじゃなかったってことかよ?』
『残念じゃがな。それはわらわの力が封印された九尾の鏡の一部なのじゃ』
『あの仙人…!大嘘つきやがったな。なにが神様を呼べるだ!良いことが起こるだ!単に自分で持ってるのが嫌だっただけじゃねえか!』
今頃見知らぬ仙人にキレる佐助。
『あはっ。安い罠に引っ掛かるおぬしが悪いんじゃ。ちなみに猿飛の末裔しかあの巻物の封印は解けん。解いたからにはわらわに協力してもらうぞ!』
劉幻は心底楽しそうな声で言った。
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