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『まさか…初代猿飛佐助にか?』
佐助は古い言い伝えで200年ほど前、初代猿飛佐助らが九尾の狐を京の山奥に封印したという話を聞いていた。
『そうじゃ。あれは今から200年ほど前じゃった』
思い出すように呟いた。元々劉幻は中国の孤だった。
始まりは4000年前。世には妖怪が溢れており、長い間人々を苦しめたので
これではいかんと神たちは神の力を使い妖怪を倒せる者を探した。
そんな時中国の山奥に居たまだ幼かったが勇敢だった劉幻に出会った。
瞬く間に劉幻は自然神たちに気に入られ、
「人間では神の力を与える器にならぬから」と神たちは三匹の狐に神通力を与え妖怪退治をするよう命じた。
それから4000年近く劉幻たちは妖怪どもを退けながら山奥でひっそり暮らしていた。
そんなある日、大昔からの仲間であり一緒に妖怪退治をしてきた三人の神通者の一人“孫幻”が日本から来たオロチという凶悪な魔物にとり憑かれ悪鬼へと変貌してしまった。
悪鬼となった孫幻は中国を離れ戦国時代の日本へ渡っていた。
そんな孫幻の暴虐を止めようと劉幻は日本に来たのだった。
ところが孫幻を見つける一歩手前まできた時、
京の山奥である忍者たちと出会ってしまった。
それがまた不運なことに当時、妖怪退治筆頭だった”退魔忍”初代猿飛佐助たちだった。
ちょうど退魔忍らに出会った時、戦闘態勢に入っていた劉幻の姿は彼らからすれば妖怪の類に見えてしまったらしい。
死闘の末、ほんの一瞬の隙に佐助が持っていた妖刀“紅猿”(あかざる)によって九つの尻尾が切られてしまった。
後に尻尾の力は鏡に封印され九つの文字が刻まれた。
『天』『空』『陰』『陽』『紅』『蒼』『劉』『孫』そして中央には『幻』と。
そして数百年経った今、何者かによってこの鏡は壊され、九つの破片となって各地に九尾の力が散ったのであった。
九つの尻尾を失い、急激に弱体化した劉幻でさえも力では敵わないと判断した退魔忍たちは
その後、苦戦するも皆で力を合わせ最後には猿飛流“最終奥義”『忍びの巻』を使ってなんとか劉幻本体をこの大岩の下に巻物と一緒に封印できたのであった。
『そんなことがあったのか…。そりゃ劉幻には悪いことしちまったな』
劉幻本人にしてみれば史上最悪のとっばっちりだった。
自分自身はなにもしてないとはいえ先祖が原因となるとやはりなんとなく気まずい佐助なのだった。
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