1139人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ
「ちょっと待ったぁあああ!!」
その劈く様な叫びと共に、バンッと勢いよくトイレの入り口の扉が開かれる。
皆が茫然と目を見開くその先には……白衣の男の姿が見えた。
少し色素の薄いサラサラの髪と、真っ白な白衣を靡かせたその男は、刺す様な鋭い眼差しを佐藤さんに向けている。
「……高坂……先生」
そう佐藤さんが名を呼ぶと、高坂先生は佐藤さん、田中さん、鈴木さん……そして私へと、ゆっくりと視線を動かした。
「君達は《S》とは何なのか、ま………………………ったく分かっていない!!」
「……は?」
そう拳を握り締め声を上げた彼を茫然と見つめたまま、佐藤さん、田中さん、鈴木さん、そして私の口から気の抜けた声が漏れる。
「SMは只の暴力ではない!!肉体的苦痛を昇華させ、精神的快楽へと導く尊い行為である!!深い信頼の元、心を通わせ合う……それこそが真のSM!!」
先生はそう力説すると、それから佐藤さんを真っ直ぐに見つめた。
「そんな事も知らない君が、軽々しく《S》を口にするんじゃない!!」
そう言って先生は佐藤さんに向かってビシッと指を差すと、咎める様な視線を佐藤さんに向ける。
最初のコメントを投稿しよう!