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第1話②「だってキミは《S》なんでしょ?」
あれから私は高坂先生に手を引かれ、ほぼ無理やり保健室へと連行され、そこで着替え用の制服を受け取ると、シャワールームに押し込まれた。
シャワーを浴び着替えると、私が逃げ出さない様にと、女子用シャワールームの前に悠然と立っていた先生にまた手を引かれ、保健室へと連れ戻される。
保健室に入れば消毒液の独特の香りがし、それと共に室内を見回した。
窓際の二台のベッドに、壁際に置かれた薬品棚と黒いソファー。
それから先生が使っている灰色の机と、それとは別の木製の四角いテーブルと椅子。
そして保健室の奥にクリーム色の扉が見え、その横に白いプレートと《予約表》と書かれたホワイトボードが見える。
その扉には《CR高坂》と書かれたプラスチックのプレートが揺れていた。
……噂は知っていた。
高坂先生はこの学園の生徒や教師のカウンセリングを請け負っているらしい。
具体的にどんな事をしているのかは、分からなかった。
何故ならカウンセリングを受けた人達は、その事を絶対に口外しないからだ。
でも彼のカウンセリングは凄く好評で、なかなか予約が取れないらしい。
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