第1話②「だってキミは《S》なんでしょ?」

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「さぁ、中に入って」 そう言って高坂先生は、カウンセリングルームの扉を開くと、その中に私を押し込む。 彼が扉の横に付いている小さなプレートをスライドさせると、《空室》だったプレートが《使用中》へと変わる。 それからパタンと扉が閉められ、そしてガチャリと……錠の掛かる音が聞こえた。 その音に何故か私の本能が身の危険を訴え、険しい顔をしたまま彼を見つめる。 ……こんな密室で、《ナニ》をされるのか。 そんな考えと共にさっきトイレで彼が垣間見せた……《異常者》の片鱗が頭の中を過る。 しかしその事には決して触れない。 その話題に触れたら……良くない事が起こる。 ……そんな気がした。
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