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教室に足を踏み入れたその瞬間、騒がしかった教室に、一瞬の重苦しい空気が流れる。
まるで私を窺う様なクラスメイトの視線を感じながら、足早に自分の席へと向かう。
……窓際の一番後ろ。
距離を取る様にポツンと離されたその席に座ると、また教室はガヤガヤと騒がしさを取り戻した。
……早く時間が過ぎればいいのに。
まだ今日が始まったばかりだと言うのに、そんな事を考えてしまう。
そのまま大してやる事もないままボーっと窓から外を眺めていると、なんて事のないホームルームが始まった。
あれから得に何も起こらないまま、四時間目の授業が終わる。
……今日は何も起こらない。
そんな事を考えホッと息を吐いた、その時だった。
「ねぇ、上野~。トイレ行こうよ」
バンと叩かれた机の音にビクリと身を竦めると同時に、そう声が掛る。
恐る恐る顔を上げると、そこには不敵な笑みを浮かべる三人の女子の姿が見えた。
三人はニヤニヤと下卑た笑みを浮かべたまま、冷たく私を見下ろしている。
「ねぇ、行くでしょ?ト・イ・レ」
そう言ってこの三人組のリーダー格の佐藤さんが、無理やり私の腕を掴み立ち上がらせる。
それに怯える様に小さく身を竦めると、三人は面白そうにニヤリと笑った。
「行こ行こ!」
そのまま彼女に手を引かれ、無理やりトイレへと連れて行かれた。
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