第1話①「軽々しく《S》を口にするな!!」

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教室に足を踏み入れたその瞬間、騒がしかった教室に、一瞬の重苦しい空気が流れる。 まるで私を窺う様なクラスメイトの視線を感じながら、足早に自分の席へと向かう。 ……窓際の一番後ろ。 距離を取る様にポツンと離されたその席に座ると、また教室はガヤガヤと騒がしさを取り戻した。 ……早く時間が過ぎればいいのに。 まだ今日が始まったばかりだと言うのに、そんな事を考えてしまう。 そのまま大してやる事もないままボーっと窓から外を眺めていると、なんて事のないホームルームが始まった。 あれから得に何も起こらないまま、四時間目の授業が終わる。 ……今日は何も起こらない。 そんな事を考えホッと息を吐いた、その時だった。 「ねぇ、上野~。トイレ行こうよ」 バンと叩かれた机の音にビクリと身を竦めると同時に、そう声が掛る。 恐る恐る顔を上げると、そこには不敵な笑みを浮かべる三人の女子の姿が見えた。 三人はニヤニヤと下卑た笑みを浮かべたまま、冷たく私を見下ろしている。 「ねぇ、行くでしょ?ト・イ・レ」 そう言ってこの三人組のリーダー格の佐藤さんが、無理やり私の腕を掴み立ち上がらせる。 それに怯える様に小さく身を竦めると、三人は面白そうにニヤリと笑った。 「行こ行こ!」 そのまま彼女に手を引かれ、無理やりトイレへと連れて行かれた。
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