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バシャッと掛けられた水の冷たさに、思わず身体を震わせた。
髪の毛からつま先まで、バケツで水を掛けられたせいでビショビショになっている。
ロクに掃除もされていなそうな汚い床に膝をついたまま、手で髪から滴る水滴を拭う。
「あはははっ!!これでその愛想の無い顔が少しは綺麗になったかな~?」
そう言って三人組の二番手、田中さんがケラケラと高らかに笑った。
「うわ~まだ汚いみたいだよ?もっと洗ってあげないと」
一番下っ端の鈴木さんが、もっとやれとばかりに田中さんをけしかける。
その二人の後ろで佐藤さんは腕を組んだまま、びしょ濡れの私の姿を満足そうに眺めていた。
……いつからだったろうか。
こんなくだらない《イジメ》が始まったのは。
心躍らせて入学したものの、思いのほか、私はこの学校に馴染めなかった。
元々そんなに人付き合いが得意では無かったが、何故か入学早々にこの三人組に目を付けられ、それからは色々と悲惨な目に遭っている。
高校二年になった今でも彼女達とは同じクラスで、クラスの皆は私がイジメられているのを薄々分かっていながらも……何もしなかった。
ただ直接的に何かをしてくるのはこの三人だけなので、最初の頃こそ泣き明かしたモノだが、最近はこんな異常な事態に少し慣れ始めている自分がいる。
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