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昼休み。 朝っぱらから騒がしくてティータイムが昼まで延びてしまった。 (はぁ。癒される) 大好きな紅茶を幸せそうに飲んでいると声をかけられる。 「前…良いかしら?」 「へ…?」 驚いて少し見上げると、とても美しい女性が笑顔でこちらを見ている。 「あ…はい!どうぞ」 慌てて笑顔で返事をする。 (つ…つい見とれてしまった) 少し頬を赤らめながら遠慮がちに相手を眺める。 (凄く綺麗な人だなぁ。大人の魅力って言うの?私には無いものだし…羨ましいなぁ) 「どうかした?」 「え!?あ…いえ」 視線に気付いたのか遠慮がちに聞いてくる。 (凝視してたのかなぁ。流石に凝視は良くないよねー…) 心の中で溜め息をすると、女性が話しかけてくる。 「ねぇ、私と友達にならない?」 「…へ」 「あ…ごめんなさい。急に言われても困るわよねぇ」 女性が苦笑いをする。 何をしても上品に見える。 「あ…。違うんです!その…ビックリしちゃったんです」 「え?」 「私みたいな奴と友達になってくれる人いるんだって思って」 深紅は儚げに笑う。 その言葉と消えてしまいそうな笑顔にキュンとしたらしく、手をガシッと握る。 「私は茜川芽衣子って言うの。仲良くしましょっ」 「よ、よろしくお願いします!」 そんな光景を覗き見る影がある。 「芽衣子が行動し始めた…か」 無言で去って行く。 「あれ。どうしたんです?こんな所にいるなんて珍しい。深紅の事気になるんですか?八雲先輩?」 「…十磨か」 目の前にはニヤついている十磨が立っていた。 「別に。お前には関係n」 「あーなるほど。芽衣子が動き出したんだ?」 「…お前は何しに来たんだ?」 「あぁ…俺?書類を会長に」 笑顔で見せてくる書類の量はかなりあると思う。 「会長」 「はい?」 「そろそろ部屋に戻ってくれないか」 「えー…」 「えーじゃない。ほら。あ、コイツ借りて行きます」 ガシッと腕を掴むと引っ張って行く。 「十磨の鬼ー」 「鬼で結構」 なんて会話が遠くなっていく。 「あら、観察でもしてたの?」 「誰がお前の」 「深紅ちゃんの」 「…」 海斗は黙る。 つまり図星。 「なぁに?深紅ちゃんの事好きなのー?」 「違うっ」 「隠さなくても良いのよぉ」 芽衣子は海斗にしか聞こえないように耳打ちする。 「俺より先に手ェ出したら抹殺な」 「はぁ…!?」 振り向くと、満面の笑みの芽衣子がいた。 「くれぐれも…ね?」 「お前にだけは負けたくないね」 「あらぁ。勝てた事あったかしらねぇ」
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