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「『恐怖』……ですか」
「ええ、この『恐怖』という感情がなくなった人間っていうのは便利ですからね」
「便利というのは?」
「まず、死を恐れない兵隊、文字通り最強の軍隊が出来上がるでしょう。また、借金まみれの人間に保険をかけて自殺させる場合、この薬があれば簡単に死んでくれます。あとは、暴力団同士の抗争でも役立ちますね。鉄砲玉にこの薬を使えば、さぞいい仕事をしてくれることでしょう」
そう言いながら村上は終始ニコニコしていた。
おれは聞いてて吐き気がした。こんな風に、人間の命をまるで紙くずのように話す奴には会ったことがなかった。
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