5年前

6/19
前へ
/175ページ
次へ
「やられたわね」 理子が死体を見ながら言った。 「ああ。おれたち以外にも、データーを狙っている奴がいたってことだな」 おれは、USBメモリーを探しながら言った。やはり、見当をつけた場所にはない。 「どうするの?」 「どうするか……。他にバックアップがあるかもしれないが、この状態じゃ絶望的だな。あとは、盗んだ奴から盗み返すか……ん? 何か聞こえる」 すすり泣くような声が聞こえる。どこからだ? 「ベッドの下のようね」 理子とおれは、ベッドの下を覗いてみた。 ベッドの下には、女の子がクマのぬいぐるみを抱いて泣いていた。 どうやら、研究者夫婦の子供のようだ。見たところ、4、5歳といったところか。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加