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「だ、誰?」
女の子は泣きながら訊いてきた。
困った。なんて答えようか。
「あー……君を助けに来たんだよ」
こんな感じでいいだろうか?
理子を見ると、同じように困った顔をしている。
「悪い人たちは帰った?」
「うん、もう帰ったよ。大丈夫だから、出ておいで」
ベッドの下に手を差し伸べた。しかし、女の子はその手をとろうとしない。
「パパとママは?」
そうか……この子は、まだ自分の両親が殺されたことを知らないんだ。
「大丈夫。外で君を待ってるよ。おれたちは、パパとママに頼まれて君を助けに来たんだ」
「ほんとに? 正義の味方なの?」
「ああ、そうだよ」
即答しておいて、気分が悪くなった。泥棒が、何を言っている。
「君の名前は?」
「木下沙耶」
「そうか。沙耶ちゃん、さあ、おいで」
沙耶はゆっくりとおれの手を握った。おれは、その手を優しくひっぱり、沙耶を抱き上げた。
幸い、暗闇なので両親の死体には気がついていない。急いで部屋の外に出た。
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