128人が本棚に入れています
本棚に追加
「警察庁長官、坂崎さんだな?」
「……何者だ?」
相手が警戒した声で問いかける。
「CROWS……でわかるか?」
「CROWS?……あの窃盗団のか?」
「ああ、そのCROWSだ」
「なぜ、私の携帯の番号を知っている?」
「それは企業秘密だ」
「……」
反応がない。いたずら電話だと思っているのか?
おれは、構わず続けた。
「取引がしたい。いわゆる、司法取引ってやつだ」
「司法取引だと? コソ泥風情が、大物気取りだな」
少しカチンときたが、我慢して話を続けた。
「おれ自身はたしかに小物かもしれない。だが、おれの依頼主には大物がいるかも知れないぜ?」
「!!」
相手がおれの言葉に反応しているのが電話越しに伝わる。
「とりあえず、その取引の内容とやらを聞いてみてからだ」
やった。乗ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!