5年前

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「警察庁長官、坂崎さんだな?」 「……何者だ?」 相手が警戒した声で問いかける。 「CROWS……でわかるか?」 「CROWS?……あの窃盗団のか?」 「ああ、そのCROWSだ」 「なぜ、私の携帯の番号を知っている?」 「それは企業秘密だ」 「……」 反応がない。いたずら電話だと思っているのか? おれは、構わず続けた。 「取引がしたい。いわゆる、司法取引ってやつだ」 「司法取引だと? コソ泥風情が、大物気取りだな」 少しカチンときたが、我慢して話を続けた。 「おれ自身はたしかに小物かもしれない。だが、おれの依頼主には大物がいるかも知れないぜ?」 「!!」 相手がおれの言葉に反応しているのが電話越しに伝わる。 「とりあえず、その取引の内容とやらを聞いてみてからだ」 やった。乗ってきた。
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