128人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、おれは再び坂崎長官に電話をかけた。
「はい」
昨日と同じように、無愛想な声だ。
「おれだ。昨日の返事を訊きたい」
「いいだろう。取引に応じる」
うまくいった。おそらく、このリストはおれ自身が考えるよりも重要なものなのだろう。
「用意して欲しい戸籍は二人分。おれとおれの娘、5歳の少女の分だ」
「娘? 娘がいるのか? 母親は?」
「母親はいない。離婚でも死別でも、戸籍には好きなように記録しておいてくれ」
「わかった」
「いつ頃できる?」
「一週間はかかる」
「わかった。一週間後にまた電話する。それと、おれを嵌めようと思うなよ? 知ってると思うが、おれの相棒はヴァンパイアだ。もしおれが捕まって刑務所にぶち込まれるようなことがあったら……わかるな?」
「心配しなくていい。こちらが欲しいのはリストであって、お前の身柄ではない」
最初のコメントを投稿しよう!