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「じゃぁ、おれは飯食ってくるから、理子、この前の浮気調査の件、頼むな」
「ヴァンパイアの能力が浮気調査に使われてるなんて、世も末よね」
実際、これほど便利な能力はない。理子は、星明かりの中でも100メートル先にいる人の顔のほくろの位置までわかるし、鼻や聴力は犬並みだ。
それに、その気になれば車より速く走ることができるし、腕力も大人の男性の数十倍はあるため、自分の身も守れる。
まさに、探偵事務所にうってつけだ。
ただ、弱点もある。まず、昼間、日光の下では能力は発揮できない。
理子が言うには、インフルエンザと同じ症状になるという。
高熱と、関節痛、そして倦怠感。とても、動ける状態ではないそうだ。
また、定期的に血を摂取しなくてはならない。その場合、男は女の、女は男の血でなくては拒絶反応を起こしてしまう。
結構面倒くさそうだが、500年もそんな生活をしていれば、そんなに苦ではないらしい。
理子の場合、酔っ払った振りをして、ターゲットに抱きつく。
そうすると大抵の男は隙だらけになる。その隙をついて、少しだけ血をいただく。吸われた方は、ほとんど気がつかない。
そうやって、週に1,2回、繁華街へ出かけて食事をしてくる。
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