烏森探偵事務所

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公表していないこの事務所を尋ねてきたことといい、油断ならない相手だ。 しかも、相手はおれがここにいることを知って尋ねてきている。ここで追い返すとあとで面倒くさいことになりそうだ。 とりあえず話だけでも聞くことにした。 「ちょっと待っててください。」 そう言って受話器をおいた。 「理子、浮気調査は後だ。お前も残って話を聞いてくれ。」 おれは、もしものときのボディーガードとして理子に同席してもらうことにした。 理子は黙って頷く。 そして、リビングにいる沙耶に聞こえるように言った。 「沙耶、飯は後で食う。勝手に食うから、お前は自分の部屋に行ってろ。」 返事はないが、気配で自分の部屋に戻ったのがわかる。 「理子、客を事務所まで通してくれ。」 そう言って、残ったコーヒーを飲み干した。
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