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けたたましく鳴る電話。 その日の目覚めは最悪だった。 案の定、伊達さんの予想が的中。 犯行グループは予定日ぴったりに研究所に入り込み、目的であろう細菌を奪い去った。 生憎、研究所はカードキーを紛失したことをマスコミには伏せていたし。 警察自体、伊達さんの意見は取り持ってくれなかった。 ならば自分で動くしかない。 研究員への聞き込みのふりして、研究所に入り込む事なんか簡単で。 伊達さんと二人で何事も無く時間が過ぎるのを待つはずだった。 「特になーんにもおこらないね…」 「やっぱ伊達さんの思い過ごし?」 「かもしれないね。とりあえず、僕は一旦ロビーに行くから…」 「りょーかい」 伊達さんと分かれて5分くらいしてからだったろうか。 不意に、 ドォォオン……… 背後からの耳をつんざく様な爆音と、周囲の窓ガラスが割れていく光景。 建物が揺れ、目の前のまばゆい光に目を背けるしかできなかった。 「ちょ、まじかよ…」 目の前にあった部屋は扉ごと吹っ飛ばされていた。 さっきまであったデスクやパソコンは全部ひっくり返ってるし。 「!」 そういえばこの部屋の奥は細菌研究室で、犯人の目的もこの奥。 やばい。と思った瞬間、奥からガスマスクを付けた人間がゆっくり出てくる。 左手にはケース。 右手には…。 腰の銃を向けるより早く、相手は引き金を引いていた。 .
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