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新撰組には局中法度というものが存在する。その中の一つが『私闘を禁ずる』というものだ。よく小夜をめぐって小競り合いをしているが、それが多少度を越えても罰せられないのは偏に局長である近藤が容認しているからだ。
しかし、今回のは明らかに殺意があった。しかも魔が差したとかの瞬間的なものではなく、計画的な犯罪だ。容認なんて出来る程度ではない。本来ならば局中法度を破った者に平等に与えられる厳しい掟により、切腹させられる。
そう、『本来』ならば。
近藤は言った。山崎は全く気づかなかったのにな、と。つまり彼は山崎が奴らに殺され掛けていたのを見ていたのだ。
あの優しい局長が何も言わずにこっそり寺の片隅から見守っていた理由。それは――…。
(局長ぉぉおおっ!!俺があんな夢見たからって、その判断はあかんやろッ!!)
夢であっても猫可愛がりしている義娘が野郎とニャンニャンなんて、親心が許さない。メラメラと燃え盛る親バカ根性、それに侵された頭が、そうかと閃く。
やっちまえばいいんじゃね?
そう、この恐ろしい事件の黒幕はまさかの親バカ代表近藤。そして手足となって動いたのは恋という名の病で盲目になってしまった幹部たちだったのだ。
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