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「で、でもな小夜」
「問答無用!!」
「ウグッ」
深手を負いながらも頑張った永倉だが、小夜の拒絶で地に崩れた。恐ろしい威力だ。
「これは山崎さんと私の問題です。私と山崎さんで解決します。口を出さないでください」
口だけならいい。手は出さないでくれ。それがこの状況をより理解している山崎の願いだ。
何はともあれ、小夜のおかげで命が助かった。取り敢えずは、ほとぼりが冷めるまでこの失礼な態度で接することを小夜に我慢してもらう方針でやっていこう。優しい彼女なら承諾してくれるだろう。
山崎はようやく緊張の糸を緩めたのだ。――一瞬だけ。
「……小夜、山崎と買い出し行ってこい」
「!?」
山崎の心臓が凍りついた。反射的に振り向けば、憮然と眉を寄せて腕を組んでいる上司(鬼の方)の姿。沖田もその横で自分と同じように目を丸くし彼を凝視している。
「土方さん気が狂ったんですか!?相手は山崎さんですよ!?」
「総ちゃんそれ俺が危険人物みたいやから」
「山崎だが仕方がねぇ。小夜もさっさと決着つけてぇだろ」
「……え、無視?」
どうしてだろう、心が寒い。
「土方さん、いいんですか?」
おずおずと、小夜が伺う。
「お部屋が大変なことになってますけど」
そっちか。
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