かごめかごめ

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もしもトミに後継ぎなんかが生まれれば、トミは我が物顔であの家に居座るようになるだろう。タカにはそれが許せなかった。  石段の下が近づくにつれて、その女が変な格好で倒れていることに気がついた。あたりはすでに明るくなり始めているが、夜盲症のタカにはかろうじて見分けられる程度だ。落ちる途中で骨を折ったのだろうか、トミの首はぐるりと真後ろに曲がっている。しかし目はきつく閉じられているのでタカはほっとした。自分が突き落とした女と目が合うのは考えただけでもぞっとする。ふと見ると、トミの両腕はお腹の子をかばうように腹を抱え込んだままだった。 「お前がこの女の子供じゃなきゃねぇ…」  生まれなかった子に話しかけるようにそう呟いてタカは傍らにしゃがみ込んだ。
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