かごめかごめ

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そのとき、ふいにトミの手がタカの左手首をつかんだ。タカは恐怖で声が出ない。ものすごい力で手首をつかまれたまま身動きがとれないでいると、トミの首がぐるりとタカの方を向いた。タカは目を閉じようとしたが、何者かの強い力でこじ開けられているかのように瞼が閉じない。そして、タカはトミの目がカッと見開くのを見た。  ゴボッと血を吐きながらトミの口が開く。そして、言った。 「お母さまの仕業ね…」  あとのことはよく覚えていない。死に物狂いで妻の手を振りほどき、走りに走った。気がつくとタカは家の土間に倒れていたのだった。
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