江戸子守唄

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9歳になるカヨは、貧しい農家の生まれで、ごく幼い頃から家族と一緒に畑で働く毎日だったが、3カ月ほど前、隣町の庄屋に奉公に出された。朝はまだ暗いうちから起きて水汲みに火おこし、休む間もなく働かされて、与えられるのは粗末な着物にわずかな食糧だけ。それでも故郷の村にいたら家族みんなで飢えて死ぬ。どんなにつらくともそこしか居場所がないことは幼いカヨにもわかっていた。 その日もカヨは泣きやまない旦那さまの赤ん坊を背負って家事をしていたが、あんまり泣きやまないもので、女中頭がカヨに赤ん坊を外へ連れ出すように言ったのだった。
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