かごめかごめ

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お前に男の子を産ませはしない 神社に続く長い石段をトミは上っていた。 群青色の空に三日月がかかっている。夜とも朝ともつかぬ、寅の刻。 臨月を迎えた腹は重く、一段上がるごとに息が切れた。それでも休み休み上っていく。 トミの住む地方の古い言い伝えで、この時間に安産祈願に参ると男児が生まれると教えてくれたのは姑のタカだった。トミは名家のひとり息子の嫁。周囲から跡取りを望まれるのは当然のことだった。 階段を上り終え、暗い境内に足を踏み入れたとき、どこからか視線を感じた気がしてトミは立ち止まった。しかしあたりはぼんやりと薄闇に包まれて、人影は見えない。 風が吹いて周りを取り囲む木々がザザザッと音を立てた。子供のころからの遊び場だがこんな時間の神社はやはり薄気味が悪い。
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