がくせい その2

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「学生の本分は勉学、なんて言われてはいるけれど、実際その学生である俺達からしてみれば10代を勉強だけで終わらせたくないっていうのも本音だよな?」 「確かにそれは否定しないわ。現実問題、勉学してよい大学に入学してそれこそトップの成績を維持して就職しても、将来的にそこが好きでもない職場であったり見込みが無かったり派閥争いに巻き込まれるよりか、自身の好きな事を学生のうちにやってそれを職に出来る人の方が幾分か幸せでしょうね?」 「まぁ、就職氷河期、とまで比喩される昨今だ。まだ好き放題して身につけばいいぐらいの余裕を持っておいた方が何とかなるのかもしれないな?」 「けれど、ユキの場合は“喧嘩屋”なんて呼ばれて周りに迷惑掛けるからとサッカー部を自主退部して、追われては返り討ちを繰り返すのだから内申書には悪い印象しか書かれてないだろうし。家事が実は得意というギャップ萌えなユキではあるけれど、それを表にだそうとはしないせいで職はかなり狭まっていくわね?」 「……頬に傷、背中に昇り龍とかシャレにならないぞ?」 「婿養子ならいつでも歓迎よ」 「主夫、っすか?」 「オフコース!」
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