第一章 お決まりな展開

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「兄貴ーあーさーだーぞー」 「朝は……可愛い女の子で……」 「妄想を抱いたまま溺死してくれ」 俺の夢は軽く打ち砕かれた。 仮に可愛い女の子の幼なじみや友人がいたとして、その子に朝起こして貰った場合でも俺は起きないだろうな。俺は目の前の欲望、即ち睡眠を優先するだろう。 「兄貴、妄想に耽ってないで学校行くぞ」 「俺にはゆっくり妄想に耽る権利もないのか! あと朝食も」 「お前にそんな時間ねーから」 何この弟鬼じゃね? てか、マジで時間ないのな。さっさと着替えて家を出ないと入学式に間に合わない。 いっそジャージのままでも……止めておこう。さすがにそれはないな。 馬鹿なことを考えつつも素早く着替えを済まし、コップ一杯の牛乳だけを胃に流し込み、母親に挨拶をして弟のタクと共に家を出た。 よしよし、ここまではスムーズに進んだな。残るは学校へ向かうだけだが、ここで問題を起こしてはならない。朝食を抜いて支度をしたから時間には多少の余裕が出来たが、道草を食うほどの余裕まではないのだ。 「タク、今日はアイツどうするって言ってた?」 俺は隣を歩いている弟の巧人へ話しかけた。 「アイツってあのバカのことか?アイツなら昨日の夜にメールで『明日って何時から?』って聞いてきたから、『明日は九時半からだ』って返した」 ……こいつひでぇ。 学校が始まるのは九時。当然入学式が始まるのも九時からとなる。結果、いきなり遅刻をするハメとなった。 「九時半だとちょうど校長の話があるくらいだな」 「それくらいだな」 新学期でクラスが変わるというのに、アイツはまたもバカキャラポジションにつくんだな。 ……思いっきりざまぁって笑ってやろう。
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