第一章 お決まりな展開

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しかし、これで遅刻をする要因は大分減ったことになる。遅刻の大半はあのバカによる無駄な行為だからな。 「いやー、アイツがいないとゆっくりでぶっ!?」 突如背中に衝撃があり、その弾みで顔から電信柱にぶつかってしまった。 は、鼻が折れる……。 「ごめんなさいね。貴方が邪魔だったから思い切り蹴飛ばしてしまったわ」 地面にうずくまっていた為相手が誰かは判らないが、どうやら声の主は女性のようだ。随分とアグレッシブだが。 俺が顔を上げたときには既に女性は立ち去っていた。 「俺……あの人の恨み買うようなことしたかな……」 「兄貴運悪いから仕方ないんじゃね?」 結論だけ言えば運が悪かった。その一言で解決するのだ。俺は周囲に認められる程の不運の持ち主なのだから。 とはいえ、いくら不運だからっていきなり女性に蹴られるってのはねぇ。俺が気づいていないだけで、知らぬ内に傷つけてるなんて事も……ないんじゃね。 まず女性と接触する機会なんてクラスの連中くらいだし。 「タク、今の人に見覚えあったか」 「黒髪ロングの美人を兄貴は知ってるのか?」 「次元の向こうでなら」 「ゆっくりデブれ」 「何ゆっくりデブれって!? あれは背中を蹴られた衝撃で言葉が途切れただけだからな!? てかゆっくりデブれって単純に太っていくのと同じだろ……」 「気にしたら負け」 わーい、弟がやたら冷たいよーう。 あ、タクは朝は機嫌悪いんだったな。
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