プロローグ

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空には厚い雲がかかり、せっかくの満月が顔を引っ込めてしまい辺りは暗い。 海は荒れて強い波がたち、真っ暗な沖合で明かり一つ点けていない巨大な船を大きく揺らす。 まるで海神ポセイドンに弄ばれるように揺れる船、その側の海面が不自然にパシャンと跳ねた。暗くて見えづらいが、そこには何かがチラチラ光っている。海面から二十メートルはある甲板からでは目視できないが、潜水スーツを着込んだダイバー達が懐中電灯を片手にプカプカと浮いているのだ。 真っ暗な海面に浮かぶダイバー達は手に持つ懐中電灯を頭に固定すると、荒れる海を警戒しながら静かに海面から姿を消した。
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