49人が本棚に入れています
本棚に追加
ここは私たちが住む世界。ここに古びた孤児院がある。そこに高校の卒業を控え、これからの人生について悩みを抱えている少女がいた。
名を『寿 汀』。
彼女は高校を卒業し、働いて自立しようと考えていたのだが、新たな生活に不安を抱いていた。
「汀も、私も、もうすぐ高校を卒業だね。」
後ろから長髪で、眼鏡が特徴的な汀の友人『椿 雫』が机に臥せっている汀に話しかけてきた。
「いざとなると怖いわね。雫はここで恩返し……離れ離れか……」
「また、そんな弱気を…私が知っている汀はそんな弱音は吐かないわよ?」
雫は汀の背中を二回叩いた。
…………
どこにでもある二人の会話を覗く影があった。
直接覗くのではない。水晶の様なもので二人のやり取りを見ている。
「またその娘の監視ですか、紫さま?」
水晶を覗く彼女の名は『八雲 紫』。その彼女の式神である『八雲 藍』は主である紫に尋ねた。
「ええ、貴方も知っているでしょう?この娘の正体を……」
「はい。数日前に紫さまから教えて頂きましたから……」
藍は洗濯物を丁寧に畳むと、襖の向こうに置いた。
最初のコメントを投稿しよう!