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日は変わり、汀は新しく移り住むアパートに向かっていた。
歩いていると、目の前に日傘をさし、紫色の服を着た女性が汀を見つめながら歩いてきた。
汀は直感でその女性が普通じゃない何かを持っている存在であると感じ取った。
「こんにちは」
女性が話しかけてきた。社交辞令上、汀は挨拶を返した。
そのまま行こうとしたが、すれ違い様に女性が汀を引き留めた。
「あなたは人外の存在を信じているかしら?」
「え?」
いきなりのことで驚いた汀は振り替えって女性を見た。
吸い込まれそうな瞳で見つめられる汀はその場から動けなくなった。
「そんなに怯えなくても……まあ、いいわ。また会いましょう。」
女性はそう言うと180°向きを変えて汀から離れていく。そして、離れていくにつれ、汀の緊張はとれていった。
「な、なんだったの?」
汀は春でそんなに暑くないはずなのに、汗が吹き出していた。
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