鬼と呼ばれた少女

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数刻前 「それじゃあ、行ってくるわね……」 紫はいつもの日傘をさし、マヨヒガにある家の玄関を開けた。太陽はちょうど真上にあった。 「結界の監視は任せたわよ。」 藍にそう告げると、紫はゆっくりと宙に浮いた。 「待って下さい」 藍が紫を呼び止めた。 紫はゆっくりと藍のほうに振り返った。 「あの娘の正体はわかりましたが、幻想郷に神隠しする必要はあるのでしょうか?」 「あら、式神である貴女が、主である私に意見する気?」 「い、いえ……滅相もありません。ただ、あちらに送った簡易式神からの通信を見る限りでは、人として何事も無いように思えるので、無理に幻想郷に連れてくる必要はあるのかと思い……」 藍は上目遣いで恐る恐る紫を見上げた。紫は扇子を広げて微笑んでいた。 「あの娘は自分が人外であることを理解していないわ。それどこれか、否定してくるでしょうね。そして、やっかいなことにあの娘は、あの娘を含めて三つの魂でできている。いつ均衡が崩れて本性を現すかわからないわ」 紫は扇子をパチンと閉じた。 「外の世界で本性を現すことになると、後々厄介でしょう?」 紫は隙間を作り腰かけた
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