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「さっきの問いに答えてもらってなかったわね。」
女性はそう言うと、汀に近づく。
「来ないで!!でないと、警察を呼ぶわよ!?」
「警察?……ああ、この世界の治安維持システムね。悪いけど、この部屋に結界を張らせてもらったわ。貴女が泣こうが、喚こうが、外に声は届かないし、外から中に侵入することも出来ないわ。」
女性にそう言われて、汀は先ほど開けた窓を見た。いつの間にか閉じられていたそれを見て、汀は恐怖した。
「信じる?信じない?」
「そ、そんなこと……信じるわけ無いでしょう!!」
汀は精一杯の強がりをした。
「今のこの状況を見てもそう答えるなんて……予想通りね。寿汀さん」
女性に名を言われ、汀は固まった。
「私は八雲紫。貴女を幻想郷に招待するわ。」
紫はそう言うと汀の手を取った。目の前には空間の歪みができていた。
まるで全てを飲み込まんとするその歪みは、汀の中の何かを刺激していた。
「い、嫌!!」
汀が力一杯紫の手を払った。
パチンと言う音と共に、紫は汀から離れた。
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