ーあー

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アイス…… しかも紙袋 昔、駄菓子屋とかで使うような白い紙袋にアイスが入っていた 変なの…… しかし暑さも限界に来るとお祭り騒ぎより涼を求めてしまう 何気なく紙袋を開けて中を覗くとモナカアイスが入っていた なんとしぶいアイスなんだ 丸いモナカの中にアイスが挟まっていた 明らかにおかしい 何故紙袋? そんな事を考えながらアイスを食べた 驚いた 今でも鮮明に覚えている めちゃくちゃ美味しかった 私は店に行けば買えると思い、アイスをくれたおばさんにどこで買ったのかと尋ねると…… アイス売りのアイスだと教えてくれた 意味がわからないまま首をひねると、これだから都会育ちは……と言いながらアイス売りの事を教えてくれた どうやらこの辺りでは当たり前のように売りに来るアイス屋さんらしい 食べたい もっと食べたい そして次の日から私はひたすらアイス売りを待った しかしあれ以来現れなかった かなり落ち込んだ私を見た母親は、アイス売りのお店に直接連れていってくれた 今考えると母親も食べたかったらしい 病院から歩いて40分 車などない 真夏の炎天下ひたすら歩いた アイスの為に…… そしてアイス屋さんに漸くたどり着き、私は喜んだ 当然だ 子供の足で炎天下の40分はかなり辛い でもこれで漸く死ぬ程あのアイスが食べられる そして母親の一言 「………つぶれてる」 「……………?」 理解するのに時間がかかった 早い話、店はもう無かった 古びた店の看板は「当たり屋」 うん、確かにアイスは当たりだったよ そしていまだにそのアイスを超えるアイスに巡り会えない きっと一生巡り会えないだろう あいすのあの字は当たり屋の「あ」 でした。
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