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「ごちそうさまでした」
「ん、お粗末さま。食器貸せ、洗うから」
「や、私洗いますよ」
「………あのミス・かったるい、めんどくさいの代言者、好きな言葉はぐーたらの由夢が食器を洗ってくれるだと………!?俺は夢でも見てるのだろうか…」
「殴っていいですね」
「わかった、俺が悪かった。だからその手に持った皿を下ろせ、ゆっくりと」
「もう……じゃあ洗ってきますねー」
「おう、よろしく頼む」
やや膨れっ面になりながら由夢がお皿を持ってキッチンの方へ向かったのを見届け、黎明はふぅ、と息を吐いた。……学校サボっちまったな。姫になんて言い訳しようか………ああ考えるのも嫌だ
「めんどくせぇ……」
「何がめんどくさいんですか?」
声がしたので、振り替えると手を拭いている由夢がいた。洗い物は終了したらしい
「や、姫になんて言い訳しようかと、な」
由夢はきょとんとした表情を見せたが、みるみるその色が青く染まっていく
「…すっかり忘れてた」
「まぁなんとかなるさ。さて、とりあえず着替えてきたらどうだ?もう制服でいる意味も無いだろうし」
「ん……まぁ、仕方ないか…。そうですね………あ、黎兄さん」
「ん?」
「や、えっと、その…」
「はっきり言え」
「……ちょっと、お出掛けしません?」
******
「……で、連れ出した理由は」
「たまには兄妹水入らずでお出かけもいいじゃないですか♪」
「本音は」
「お財布兼荷物持ち役」
「さらば」
「わ、待って待って!冗談ですよー!」
「俺、冗談嫌いなんだ」
「冗談の塊みたいな人が何言ってるんですか!」
「ほぅ、人の事を冗談の塊と申すか…」
「はっ、いいいいや今のはつい……!」
「悪くない」
「褒められた!?」
「こともない」
「からの落としてきた!?」
「冗談だ」
「やっぱり塊じゃないですか!」
「おお、ツッコミのレベルが上がったな由夢よ。なでなでしてやろう」
「し、しなくていいからっ!わ、わわわっ」
「……忘れ物?」
「それダメ!なんかダメ!」
と、わいわいしながら商店街へと到着。キラキラ目を輝かせはじめた由夢を見て、財布の中身を心配しはじめた黎明であった
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