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翌日。黎明は教室にて眠たそうに授業を聞いていた。後少しで意識がグッバイしそうな時、チャイムが鳴り響く。
「お、時間か。では今回はここまで。次の授業までにここは予習しとけよー」
と、教員が告げた瞬間生徒達の眉がぴくりと動いたが、すぐにため息を吐きながら立ち上がり、一礼し終わりの挨拶をする。それを受け教員が教室から出ていった。
「……終わったか。さて、飯でも食べるかな」
今からお昼休みなので、黎明は予め買っておいたパンを取り出そうと、机の横に掛けてあるカバンに手を伸ばそうとした瞬間、聞き覚えがものすごくある声が教室の入り口から聞こえた。
「あ、あの!黎くんいますか……?」
「お、生徒会長さんじゃないか。ああ、いるぜ。ちょっと待ってな。…黎明!朝倉さんが来たぞー」
友人に呼ばれ、そちらに顔を向けるとそこには音姫がいた。…手に四角い包みを持って。とりあえずパンは後回しにして椅子から腰を上げて音姫の方へ向かい、呼んでくれた友人に礼をする黎明。
「ん、サンキュ」
「おう、二人仲良くなー」
やたらにやにやしてる友人はほっとき、音姫の方へ顔を向ける。
「どうした?」
「うん、えっと……これを弟くんに渡してもらっていい?」
そう言って、手に持っていた包みを黎明に差し出す音姫。
「…弁当か。了解した。時間は大丈夫なのか?姫」
「……黎くんって察し良すぎない?毎回思うんだけど」
「そうか?大体姫が俺に頼みごとする時って生徒会の用事がある時だからな」
「…確かにそうだね。いつもごめんね?」
「気にするな。めんどくさいが承ろう」
「ありがとう!じゃあよろしくねー」
笑顔で手を振って離れてく姫を見送り、俺も附属校舎へ向かって歩きだす。……おっと。ついでに自分の飯も持っていこう。
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