9人が本棚に入れています
本棚に追加
さて、今義之の教室に向かっているわけだが。
「………はぁ」
実を言うと、正直こちらの校舎には来たくない。誰からか頼まれない限り絶対に近寄らないようにしているのだ。その理由が……
「(………視線やべぇ)」
ものすごい視線を感じるのだ。それも女子から。何回か来たことがあるがその度に感じたので調べたところ、どうやら俺のファンクラブ的なものがあるらしく、そこに入っている会員のほとんどが附属校の生徒達なのだ。何でそんなもんがあるのかは知らん。
「…っと、着いたな」
そんな好奇の視線に晒されながら義之の教室に到着。ためらいなく扉を開けた。
「義之いるかー」
扉を開けた瞬間、視線が集まりそしてなぜか身悶えする女子がちらほら居たが無視。お目当ての人物は……
「黎兄ぃ?」
いた。教室の奥の方に固まりがあり、そこに。そっちまで歩いていくと見知った顔ばかりが揃っていた。各々が机に弁当を広げているのを見るに、これからお昼らしい。ちょうどよかったな
「よう愚弟。飯届けに来たぞ」
「へ?……おぉ!弁当!!家に忘れてきたのに気づいて今絶望してたところだったんだ!サンキュー!」
「礼なら姫に言え。あいつが義之にって俺に託したからな」
「音姉が……わかった、後で必ず言っとくよ」
おう、と返事をしたところで、義之の隣に座っている茶髪の男、板橋渉から声を掛けられる
「黎明先輩、お久しぶりッス!どうせなら一緒に食べましょーよ!」
「よう、渉。元気そうだな。元からそのつもりで来た。お邪魔させてもらう」
適当に近くにあった椅子を拝借し、場所を空けてくれた板橋の隣に腰を下ろすと同時に、黒髪の男、杉並からも声を掛けられる
「これはこれは、黎明先輩じゃあーりませんか」
「よう負け犬」
「ぐ、前回は惨敗だったが次は必ず貴様を超えてみせよう!」
「詰めが甘いんだよお前は」
非公式新聞部、杉並。この超人とも言える問題児のせいで生徒会は毎回歯がゆい思いをしてきた。
が、去年は俺が生徒会長を勤めており、こいつの悪事を片っ端から粉砕、更に前回のクリパでは周りの人間が卒倒するレベルの知謀戦を繰り広げ見事俺が杉並に引導を渡したせいでこの学園において俺と杉並の話は伝説と呼ばれるはめに。いらん、そんな意味不明な伝説。
最初のコメントを投稿しよう!