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「……ん」
むくり、と机に張り付いていた体を持ち上げる。…三分間止まった後、黎明は教員が目の前にいるのにも関わらずおもいっきり伸びをした
「…あー、大分寝てた」
首を回すとゴキゴキと骨が音をたてる。そして未だ覚醒しきってない頭で今何をやっているのか考え始めた
……あぁそうだ、六限の授業だ。机に出されている教科書を見るに日本史の勉強らしい。というか出した記憶が無いのだが、教科書。
黒板の前では教員が面白おかしく日本史を語っている。それなりに面白いようでクラスは時折笑いに包まれる。…すまん先生、俺日本史興味ないから笑いのツボが分かりません。三国志なら喜んで聞いたんだが。
授業が終るまでまだまだ時間があるから、もう一度寝ようかなと体を机に突っ伏し、目を閉じる。しかし、一度覚醒してしまった頭はそうそう眠りにつかなくて。
結局、授業が終るまで興味ない日本史を聞いていた。……でも一人だけ笑いのツボが分からないのはなんか悔しいからめっちゃ教科書読んで勉強してたのは内緒だ。
***
「じゃーなー、黎明。明日の体育頑張ろうぜ」
「あぁ、うん。めんどいけど頑張ろう」
「またね、桜内くん。明日応援するからね!」
「ありがと。期待に応えれるかは分からないけど」
授業が終り、クラスの友人達に挨拶をして教室を出る。…というか明日の体育何やるんだっけ。…そして皆どれだけ楽しみにしてるんだ体育。そんな事を考えながら廊下を歩いていると
「れーーーいーーーくーーーーんっ!!」
「…………」
とりあえずスルー。
「れーーーいーーーくーーーんっ!!れーーーいーーーくぅーーーんっ!!!れーーいーーーく「すまん無視した俺が悪かっただからあほみたいに人の名前連呼すんな阿保姫」
Uターンして俺の名前を呼び続ける女子生徒……朝倉音姫。おとめ、と読むが俺は姫(ひめ)、と呼んでいる。俺の妹のような存在だ。容姿性格ともに完璧に近い女性だ。
「で、何なんだ姫」
「もう帰るの?一緒に帰らない?」
「生徒会の仕事は無いのか?」
「うん、今日は無いんだー。一緒に帰ろ?」
「……そうだな、帰るか」
そう言うと、姫は笑顔で頷き、俺の手を引っ張って歩き始める。……こいつと帰ると周りの視線が痛いんだがなぁ……まぁいいか。
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