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「ただいまー、っと」
ガラリと家の扉を開けて中に入る。と、同時に食欲をそそるいい匂いが。…腹減った。とりあえず台所へ向かう。
…前に洗面所で手を洗う。洗わなければ制裁が下る。姫の。しっかりと洗い、それから台所へ。台所には、姫と弟の義之が一緒に料理をしていた。姫は具材を切っていて、義之は……コンソメスープ(匂いで判断)を掻き混ぜていた。
「皮買ってきたぞー」
「お帰り黎くん。手ちゃんと洗った?」
「洗った。これはどうすればいいんだ?」
「うわ、マジで黎兄ぃが買いに行ってたんだ。頭の打ち所が悪かっ“ザクッ”すんませんっしたァ!!」
何かを言いかけた義之に近くに置いてあった包丁を投げ付ける。間一髪で躱され、包丁は壁に突き刺さった。惜しい。
「二人とも喧嘩しないの~。まぁ喧嘩するほど仲が良いって言うけどさ」
「仲良く見えたか今の!?殺されかけたぞ俺!」
「まぁまぁ」
「首謀者!首謀者あんた!何他人事みたいに振る舞ってんだよ!?」
「そんなことより、由夢はどうした?居間にも姿は見えなかったが」
「由夢ちゃんはあっちの家で宿題やってるよ。…黎くん、もう少ししたらご飯できるから呼んできてくれないかな?」
「分かった。では夕飯は任せたぞ妹、弟よ」
「任された~」
「了解だぜ」
というわけで、宿題をしている妹、朝倉由夢を起こしに隣の家に向かう。ちなみに今俺達がいる家は普段、義之と俺とあと一人、さくらさんって人が住んでいる。隣の家には、姫と由夢と純一さんって人が住んでいる。食事のときだけ、どちらかの家に集まるのだ。
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