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「眠りこけてた両面狸を連れて来たぞ~」
再び俺達が住んでいる家…芳乃家に来た。居間には既に料理が準備されており、義之と姫が楽しげに話していたが俺の言葉を聞いた瞬間義之が吹いた
「ぶふぉっ!?」
「弟くん汚いよー。どうしたの?」
「ちょっと黎兄さん、それは一体どういう意味でございましょうかねぇ?」
「よかったな、今流行りのリバーシブルじゃないか」
「れ、黎兄ぃ……俺を腹痛で殺す気か……っっ。やばいマジツボった……!」
「えー何々どういうことなの?」
「だからな姫、由夢はほら」
「言わなくていいですからっ!」
ごすっ
説明しようとしたら由夢に肘鉄食らった。……痛い
「もうちょっと加減しろマイシスター…ごふっ」
「ふんだ。黎兄さんの馬鹿」
「まぁまぁ。よくわかんないけどとりあえずご飯食べよ。冷めちゃうよ?」
それは嫌だ。というわけで仲良く夕食。餃子争いは熾烈を極めた、と言っておこう。まさかあんなに義之が応戦してくるとは……
******
「じゃあ、俺部屋に行ってるわ」
「あぁ、分かった。処理はきちんとしろよ」
「やんねーよ!」
時刻は午後十時半。由夢達は自分の家に帰り、義之は部屋へ戻った。俺は一人、居間で抹茶を啜っていた。うん、美味い。この苦みがたまらん。そんな事を思いながら、ゆったりしていると
「ただいまぁ~……」
何とも気の抜けた声が、玄関から聞こえた
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