9人が本棚に入れています
本棚に追加
すたすたと足音が居間の方に近づいてきて、もう誰もいないんだろうなぁ…という呟きが聞こえた後、がらりと居間の襖が開いた
「…あれ、黎明くんだ」
「お帰り、さくらさん」
襖を開けたのは見た目十代の、長く綺麗な金髪をツインテールにした女性。この家の家主、芳乃さくらさん。俺と義之の母親みたいな存在の人だ
「ただいまぁ~黎明くんっ」
ふらふらーっとした足取りで俺に近づき背中に乗り掛かり抱きしめるように腕を回すさくらさん。って待てこらなんか当たってるぞおい
「あー、こうするの久しぶりだぁ…落ち着く~」
「汗くさいぞさくらさん。背中なら後で貸してやるから風呂入ってこい」
「えー、もう少しこうしてたいんだけどなぁ…」
「今日の夜食冷凍したまま食品」
「む…それは嫌だ。じゃあお風呂入ってくるよ」
そう言って名残惜しそうに背中から離れるさくらさん。ふぅ…なんか神経減った気がした
「あ、一緒に入る?」
「ええからはよ行け」
ぶーぶー言いながら風呂場に向かうさくらさんを尻目に台所へ行き、夜食を作る。基本的に夜が苦手な…というか寝るのが好きな俺は十時には就寝している為、遅くに帰ってくるさくらさんと会うことはあまり無い。だがたまにさくらさんが帰ってきたときに俺が起きてると、こうやって夜食を作ったりしている
やっぱり、カップ麺とかより誰かが作ってくれた料理だよね~。らしい。気持ちはすごく分かるので、簡単なものだが作ってあげている。さて、風呂から上がってくるまでに完成させますかね
最初のコメントを投稿しよう!