芋女

6/10
前へ
/28ページ
次へ
そいつは、あの芋女だった。 俺は芋女と気づきまじまじと見つめる。 とくんっ ……え?なんだよ今の……まさか!俺が?!芋女に?!いやいや…ないない!あの芋女だぞ?!やべぇよやべぇ…なんだよ今の"とくんっ"て…とゆーか、あんなにアイツ綺麗だったか?!なんなんだよ俺!しっかりしろよ俺!なんか…「あんたなにしてんの?」 「え?」 突然聞こえた声に振り返ると、そこにはさっきまで階段の下で座っていた芋女がすぐ後ろにいた。 「っ!?」 俺は慌てて冷静を保つ。 「なに1人芝居してんの?」 芋女は呆れたような顔つきで俺に告げる。 「っいや…。おまえこそ何してんだよ」 「…別に…ただボーッとしてただけ」 そう言った芋女は、また外を眺める。さきほどと同じようにどこか切ない表情で…。俺の気のせいかもしれないが、いつもの様子ではない。なんというか元気がない。 「…おまえ、今日は睨まねぇの?」 外に向けていた視線を俺に向ける。 「なにそれ。あたしそんな睨んでたっけ?」 芋女は不機嫌そうな顔になる。 「いや、いっつも睨んでたから。すっげー顔して」 「あっそ」 芋女はまた外を見る。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加