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「………おまえ、元気ねぇな」
「っ!……別に普通だし」
芋女は俺の言葉に振り向き、少し驚いた顔をして俯く。
「…なんかあったのか?」
芋女とは言え、こんな表情を見せられて放っておける訳ない。
「…俺でよかったら話くらいなら聞いてやる」
芋女は大きい目を更に大きくし俺を見つめる。その目はまるで救いを求めるような、悲しい目をしていた。
ガチャ
俺達は屋上にやってきた。
フェンスにもたれかかり2人並んで座った。
外は夕日で染まっている。少し冷たい風が心地よい。
「…で?どうしたんだよ」
俺は芋女を見て言う。
「………うん。あのね」
芋女はそう言い空を見上げる。こんな芋女を見るのは初めてで、どこか新鮮な気持ちになる。芋女が空を見たので、俺も続いて空を見上げる。
「……あたしね、ずっと好きだった人がいるんだ。中学3年から今までずっと…。その人にとってはあたしなんかただの友達なの。だってあたし、こうゆう性格じゃん?女っ気もないし可愛くないし…それでも良かったんだ。その人があたしと話してる時に笑ってたから…。」
横目で芋女見ると、空を見つめながら幸せそうに、でもどこか寂しそうに笑った。俺はその横顔を見ていられずにまた空に視線を戻す。
「中3の終わり頃かな、もうすぐ卒業だからあたしも白黒はっきりしようって思ったの。だから思い切って告白したんだ。……でもだめだった。"友達としてしか見れない"って言われて…わかっていたけどやっぱり辛かったな…。」
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