61人が本棚に入れています
本棚に追加
その時
突如“何か”が喉に込み上げてきた。
その“何か”は熱く
それが胸から込み上げているのだとわかる。
抑えることも出来ずに思い切り咳込んだ。
いくら咳込んでも治まることなく
次から次へと込み上げてくる。
息をすること出来ない。
あまりの苦しさに涙が滲んでくるのがわかった。
どれだけの間
咳込んだのか…。
助けを求めることも、
その相手も見付けられず
ただ咳込むことしか
出来ずにいた。
「総司っっ!?どうしたっ!?」
永倉新八が咳込む声を聞きつけ
沖田に駆け寄り背中を擦る。
永倉は竹刀タコのあるゴツゴツした手で力強く
しかし沖田を気遣い優しく背中を
何度も何度も擦ってくれた。
しばらくすると自然に咳は治まり
沖田は口元を覆っていた手を離した。
永倉に礼を伝えようと顔を上げようとする。
だが自らの手のひらを目にし
沖田は絶句してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!