1人が本棚に入れています
本棚に追加
学校が終わり、少女は家路を辿っていた。
頭の中を真っ白にし、ただ足を動かしているだけ、道は体が覚えている。といった感じで少女はひたすら歩を進めていた。
声をかけられるまでは。
「ちょっといいですか?そこのお嬢さん」
男の声に引き止められ、少女は足を止める。
「はい、なんでしょうか?」
内心面倒臭いと思いながら、振り向き、少し驚く。
少女を引き止めたのは、スラッとした長身の白人男性だったのだ。
「ここに行きたいのですが、迷ってしまって……よかったら教えてくれませんか?」
流暢な日本語で白人男性は言葉を紡ぎ、少女に一枚の紙を渡した。
少女は紙を受け取ると、「あぁ」と声を漏らす。
「ここ丁度通るので、一緒に行きましょうか?」
言葉でいうより早いと思って、少女はニコやかに白人男性にそう言う。すると、白人男性は安心したように息を吐くと、「ありがとうございます」と言って、歩き出す少女について行った。
最初のコメントを投稿しよう!